BIOHAZARD 2 IMAGE STORY is a novelisation of Resident Evil 2 written by Famitsu. It was featured in their BIOHAZARD 2 OFFICIAL GUIDE BOOK.


In July 1998, a bizarre incident occurred near the Midwestern town of Raccoon City, which was resolved by the Special Tactics and Rescue Service. In the aftermath, people returned to their ordinary lives as though nothing happened.

Two months later, the same bizarre incidents are taking place as a strange disease makes its way into the city, causing a fever and skin irritation before becoming something much worse. Raccoon City is cut off from the rest of the world as communication in and out suddenly stops.

Robert Kendo is the owner of a local gun store. He finds a young man, a rookie police officer, has entered the store, totally unaware of the recent goings on. The city is a necropolis with the survivors attacking and devouring one another like a nightmare, or something out of a novel by the likes of Clive Barker or Stephen King. Kendo has defended his gunshop throughout the nightmare, and has held onto his shotgun for so long his fingers are white, though he has only one shell left. He sees no use in handguns like Kennedy's H&K VP70, as they do little to stop the killers outside of a blow to the head. The only other gun he has faith in is a customised Desert Eagle in his possession, which arrived just before the murders began but its buyer - S.T.A.R.S. officer Barry Burton - failed to pick it up. As it first 50 caliber AE ammunition, it is something more than capable of defending himself.

Kendo looks out into the darkness out the store window, seeing the pasty white fingers of a gang of people pressing against the glass. The fingers appear dead, with skin peeling from them, exposing black and red flesh beneath.  He recognises one of the faces as the owner of the nearby Arkuas clothing store, a friend of his he went drinking with just a few days ago. Kendo screams as the glass breaks, and the men force Kendo to the ground. He tries to shoot at them, but his last shell passes into the air. The men begin tearing open his torso and drag his intestines out. Kendo feels excruciating pain, but tries to tell himself it is just a dream.

Sherry is a young girl who has spent a lot of time alone, and become used to it. Her parents work as researchers at a nearby factory, and she rarely sees them during the day. They bring in frozen food for dinner, which she eats alone. One day she finds they have run out of food and no one has bought anything. She gets a call from her mother urging her to go to the police station. Angry and also in tears, Sherry's mother is unable to explain why she has to leave - she just does.

Sherry's parents have always been somewhat unusual, as she learnt when she first attended school in Raccoon. Umbrella employed a large number of townspeople, and its employees were always stressed or afraid of talking. Knowing Sherry to be the daughter of these two researchers, the parents and, thus, their children, avoided Sherry and she failed to make friends with her fellow students.

Sherry is in the police station entirely on her own, having had no reason to ask anyone to come with her. The streets outside are devoid of traffic, but she does hear a painful scream coming from a nearby shop. Outside, strange people wander up and down the streets. Eating other people, Sherry recognises them as "Zombies", a monster she has seen in films on television.

Rather than see the police station as a place of shelter, Sherry sees it only as a place to hide. In the occasions her parents came home, they would talk about work as if she were never really there, and so has no reason to accept any positive attention from anyone. She knows there are Zombies in the station - even Zombies in police uniform - so it is best to hide in places adults cannot get to.

After a while Sherry stops hiding, and begins exploring the station as a whole, despite the danger. She can hear a voice in the distance which sounds like her father. While exploring, she finds a woman also exploring, and runs away, as she simply cannot trust anyone in the station to not be infected if not a Zombie. The woman continues to follow her, and soon corners her. The woman tells her to calm down and grabs her by the arm. Sherry does so as the woman hugs her, giving the attention she never really had from her parents.



しかし、 少なかなぬ数の犠牲者を出したこの事件の真相は、 奇妙にも何の報告もなされぬまま闇へと葬られた。
変わらない日常のなかで、 人々はしだいに関心を薄れさせていく。
すべては、 終わったかに見えた。

ラクーンを囲む森林地帯に秋の気配が深まるなか、 誰も知らぬ地の底でそれは起こった。

それは、 奇病のように思われた市民の多くが訴える皮膚のかゆみと発熱、 そして意識混濁の進行。 だが、 すべてはあの洋館事件と同じだった。 目に見えぬ悪魔おウィルスが、 今度は全域に蔓延したのだ。

外部との通信が途絶え、 陸の孤島と化したラクーンシティ。 今、 そこに再びバイオハザードの惨劇がくり返されようとしている。

血と肉に彩られた、 暗く果てしない夜がはじまった。

――まったく、 運のない坊やだぜ。
ケンド銃砲店の店主ロバート・ケンドは、 今しがた彼の店に入ってきた青年の、 はち切れんばかりの若さに満ちた逞しい背中を目で追った。
ラクーン市警に着任したばかりだというその警官は、 街を徘徊するゾンビの群れを目の当たりにしたショックからまだ立ち直りきってはいないのだろう。 だが、 その身体にみなぎる活力は、 この狂気と絶望に覆い尽くされた状況下にあっても、 いささかも損なわれておらねように店主には見えた。

――しかしな。 このラクーンは今じゃ死者の街だ。 誰も生き延びられやしない。 誰も……ちくしょう! 俺はいつからバーカーやらキングやらのペーパーバックの世界に入りこんじまったんだ?

彼にとって誰一安全な場所である銃砲店の入口を守りながら、 ロバートは手にしたショットガン・レミントンM1100-Pの銃把を指が白くなるまで握りしめている自分に気づいた。

一体いつまでここで、 長い悪夢からの目覚めを待たなければならないのか? ショットシェルはもう残り少ない。 若い警官の手にしたH&K VP70程度では、 あの呪わしい亡者どもの動きを止めることすら難しいだそう。 ヤツらは心臓に9mm弾を一発撃ち込んだぐらいでは死なないのだ。 スプラッタームービーさながらに、 頭をきれいに吹っ飛ばしてやらなければ……。

職業柄、 銃の詳細なスペックが勝手に頭に浮かんできて、 ロバートは肩をすくめて苦笑した。 なまじ知っていると気苦が多いものだ。 せめて先日S.T.A.R.S.の友人バリーに納入した、 特注品のデザートイーグルがまだ手元にあったなら気が休まるのだが……あの50口径AE弾なら象だって殺せる。

ふと、 分厚いディスプレイ・ウィンドウの向こう側で何かが動いたように見えた。 ロバートは目を細め、 ガラス越しに街路の闇をのぞき込む。

白く膨れた指が、 そこに蠢いていた。 外皮がただれて垂れ下がり、 その内側に赤黒く生々しい腐肉をのぞかせた死者の指――それが一瞬には数え切れぬほど、 外界と店とを隔てる強化ガラスに押し当てられた。

生者の血肉への渇望に、 白く濁った眼を見開いた死者たちがロバートをのぞき見ていた。 そこに見知った顔を認め、 彼の背筋に電極を押しつけられたような怖気が疾る。 数件隣りにあるアルカス洋服店の親父が、 青白くただれた頬を押しつけて彼を凝視していたのだ。 つい何日か前に、 一緒に酒場へと繰り出したばかりがというのに。

ロバートの喉から汽笛のような悲鳴が漏れるのと、 殺到する死者たちの圧力でウィンドウが砕け散ったのはほぼ同時であった。

ガラス片で身体を切り裂かれながらも、 痛みを感じることのないゾンビの群れは一斉にロバートへと飛びかかった。 凄まじい力でつかみかかられ、 彼は銃口を向ける暇さえなく床に引き倒される。 苦しまぎれに発射した散弾は虚しく空気を引き裂いた。

恐怖で声帯が痙攣し、 もはや声を上げることさえできない。 腹に食いついた亡者が自分の腸を引きずり出し、 頬張っている眼前の光景が彼には別の世界の出来事のように感じられた。 痛覚も、 そして現実感も麻痺している。 食い出してしまいそうだった。 頬肉と耳もかじり取られている。 食い破られた喉からは、 真っ赤な血が嗔水のように飛び散つていた。彼は笑いを噛み殺して思う。これは夢、夢なんだ……。


若い警官――レオンが叫ぶ悲痛な悪態と、 つづけざまに鳴り響く銃声が、 ロバート・ケンドがこの最で最後に耳にした音だった。 そして、 彼の意識は深い闇に飲まれた。 二度と覚めることのない永久の眠りに。 決して明けぬ漆黒の夜に――。


誰もいない、 広いばかりの薄寒い家。 パパとママは毎日のように工場に泊まり込んで、 夢中で何かを研究している。 シェリーのことなんか忘れてしまったように。 だから彼女はひとりで、 たっぷり買い込んであるフローズン・フードをレンジに放り込んで食べる。 ひとりで、ひとこともしゃべらずに。 シェリーはそういった食べ物が大嫌いだったけれど、 それがなくなればパパとママが帰ってくると思ってちゃんと食べつづけた。

『でも、 冷凍庫が空になった日にも、 ふたりは帰ってこなかった。 代わりにママから電話があって、 ”警察署へ行け” って。 何かあったのって訊いても、 ママは教えてくれなかった。 イライラして、 怒って、 突然涙声になって……”急いで家を出なさい”え怒鳴って、 ガチャンって切れちゃった』

ときどきシェリーは心の中の自分と話す。 そうしないと、 自分が本当にそこにいるのか判らなくなってしまいそうだから。 学校でも、 彼女はひとりだった。 ラクーンに移ってきて、 それまでの友だちと遠く離れてしまったから。 シェリーは新しい友だちを作るのがあんまり得意ではなかったし、 ラクーンの学校に通う子供たちの親はほとんどがアンブレラか、 取り引きのある会社に勤めていたのだけど、 偉い研究員であるはずのパパとママをなぜだか恐がったり、 煙たがっていたから、 学校のみんなも何となくシェリーを避けているように思えた。

『だから、 警察署へもひとりで行ったの。 いつまで待ってもバスがこないから、 歩いて……そんなに遠くなかったもの。 でも、 町の様子は変だった。 人通りが全然なくて、 ときどきお店の中から苦しそうな声が聞こえたりして……そのうち、 あたりが暗くなると、 うなってばかりいる気味の悪い人たちが道に出てきたわ。 私、 テレビで見たことがあったの。 ゾンビっていって、 人間を食べちゃう怖いモンスターなのよ。 私、 見つからないように隠れながら、 警察署もで走ったわ』

シェリーはいつの頃からか、 逃げるのが得意になっていた。 いや、 逃げることしかできなくなっていた、 と言ったほうが正しいのかも知れない。 彼女は寂しがりだったけれど、 それ以上に臆病だった。 たまに帰ってきたパパやママに話しかけても、 ふたりは研究についての意見を交わし合うばかりで、 シェリーのことは目に入っていないように見えた。 だから彼女は甘えることもしなくなった。 甘えて拒絶されるぐらいなら、 最初からそこにいないように振る舞ったほうが傷つかずに済むから。 自分から積極的に他人と関わろうともしなくなった。 逃げてしまったほうが楽だから。 誰にも気にかけられていないんだって、 気づいてしまいたくないから。 臆病なもうひとりのシェリーが、 いつも彼女の心の扉を内側から閉ざしてしまうのだった。

『警察署の中にもゾンビがいっぱいいたわ。 お巡りさんの服を着たゾンビもいて、 すごく怖かった……でも、 身体が大きい大人には通れない場所があちこちにあったから、 捕まらないように逃げまわれたの。 逃げるのも、 隠れるのも、 得意だったし』

本当は甘えたかった。 パパやママに、 同じ年頃の子供がするように思いきりわがままを言ってみたかった。 ”私たちはおまえを愛しているんだよ”と言われて、 抱き締めてもらいたかった。 誰かが自分に気づいているんだって、 シェリーははっきり確かめたかった。 ただ、 その勇気がないだけなのだ。

『ママはやっぱりいなかった……でもね、 どこかからパパの声が聞こえたような気がしたの。 それで、 隠れるのをやめてパパを探してみた。 そしたらね、 暗がりの中から大きなひとつ目が私を見てたの。 怖くなって、 また逃げた……誰か女の人の声が聞こえたけど、 ママの声じゃなかったし――ゾンビがも知れないでしょ?』

嘘だ。 本当は、 ひとつ目の怪物よりも、 人と関わるほうが怖いのだ。 心を開いて、 拒絶されたらどうしようって思っているのだ。 そう、 シェリーは――私は判ってる。 さっきから大人ぶって、 こんな時でもひとりで大丈夫なふりをしているのは、 心の中の臆病な、 もうひとりのシェリーなんだって。

『あっ。 また誰かきたよ。 追っかけてきたんだ。 早く逃げなくちゃ。 だって怖いよ。 早く逃げようよ。 早く、 早く……」

「待って! 落ち着いて。 私はゾンビじゃないわ」

腕をつかんだ、 その女の人の手は温かかった。 碧い瞳が優しく私を見ていた。 その人は、 私に気づいているんだ。 ちっぽけなシェリーに。


その人は私を抱き締めてくれた。 私は泣いた。 勇気をふりしぼって――。

それは、 徘徊す死者のひとりのように見えた。

血塗れの衣服をまとい、 青白く血の気のない顔には何の表情も浮かべてはおらぬ。 一歩一歩足を引きずるような、 綬慢な動きで地下通路を進むその姿は、 ここラクーン警察署内に入り込んだゾンビの一体としか見えなかった。

しかし、 違う――。

生ける死者たちの、 虛ろな眼窩にはまった白目の代わりに、 そいつの双眸には鮮血を思わせる赤い光が爛々と灯っていた。 そいつの右腕は、 体皮をすべて剥ぎ取ったように赤黒い筋細織が露わとなり、 そして左とは不釣り合いな、 奇妙に歪んだ形状をしていた。

湿ったコンクリートの床に刻まれる足音も、 標準的な体格から考えれば異常であった。 三百キロ近い巨漢の歩みのように、 一足ごとにずしりと重々しい音が響き渡る。 あたかも、 この死者の中に高密度の何かが充満しているかの如く――。

その足音を聞きつけたのか、 一匹の怪物が曲がり角の向こうから姿を現した。

人の体表なすべて溶かし、 骨までも取りのぞいて生まれたような異形であった。 露出した脳、 それ自体が別の生き物の如くくねる長い舌、 そして痕跡すら残さずに退化した眼――されは両生類のように天井に張り付き、 そのまま全身をくねらせながら近づいてくる。警察署員から”リッカー”とあだ名された、 ゾンビとは比べものにならぬほど剣呑な怪物である。

視覚器官のないリッカーは、 代わりに発達した聴力のみを頼りに狩りを行なう。 ゆえにその死者を、 単に食いでのある、 肉がたっぷり詰まった弱々しいゾンビであると判断した。 明らかな外見上の違和感を察知できなかった。

唐突に、 リッカーは天井を離れて死者の頭上に降り注いだ。 瞬時に硬化して槍と化す舌を武器に、 頭部ごと脳を砕いて一撃のもとに倒そうとしたのである。

粘液まみれの肉がぶつかる、 湿った音が響いた。

短い静寂を挟んで聞こえてきたのは、 またもあの重々しい、 引きずるような足音であった。 それがゆっくりと、 遠ざかってゆく。

残されたのは、 原型を留めぬほどに叩き潰された、 轢死体の如きリッカーの残骸であった。

「ガス切れか……チッ! ツキが落ちてるぜ!」

ベン・ベルトリッチは愛用のライターを壁に叩きつけ、 火のつかなかった煙草のフィルターを噛み潰してから吐き捨てた。

簡易ベッドに寝転がり、 すぐに起き上がってイライラと狭い留罟場を歩きまわる。 彼を守ってくれるはずの頑丈な鉄格子が、 今はやけに頼りなく感じられた。

これまでに彼は、 数多くの危ない橋を渡ってきた。



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