FANDOM


BIOHAZARD 5 is the 2009 novelization of Resident Evil 5 written by Benny Matsuyama. It is part of the BIOHAZARD 5 kaitaishinsho guidebook. Due to the status of Studio BentStuff and the Famitsu-Capcom partnership, Benny Matsuyama's works are to be accepted as part of the mainstream canon.

PlotEdit

PrologueEdit

Chapter 1Edit

Chapter 2Edit

Chapter 3Edit

Chapter 4Edit

Chapter 5Edit

Chapter 6Edit

EpilogueEdit

TranscriptEdit

    ――この世界は、 命を賭けてまで守る価値があるんだろうか?
    クリス・レッドフィールドは、 そう自問し続けてきた。 答えの出ない問い――愛する者たちを、 善良な人々を守るちう意味でなら、 彼にとっての答えは間違いなくイエスだった。 だが、世界はどうか? 欲望に目を眩ませ、 いとも簡単に地獄の蓋を開てしまう愚者だらけの世界を駆け回り、 破滅の穴を塞ぐ任務に意義などあるのだろうか? この世界には確実に、 滅びたがっているとしか思えない者たちが存在する。 断崖の緑で、 金鉱脈を求めて己の足場につるはしを振るう欲深な道化たち。 その尻拭いをすることに、 クリスは疑問を抱いている。 それがこの世界の選択であるなら、 自分たちが身を呈して守る理由も、 意味さえもないのではないか……?
    2003年――彼はBSAAの前身となる私設対バイオテロ部隊の中心物人物として、 生物災害の根源が終焉を迎えるのを見届けた。 製薬企業の仮画の下で、 おぞましい生物兵器の数々を開発していた狂える組織アンブレラ――その最後の足掻きとなる悪魔じみた研究が、 凍てつくロシアの秘密工場深くで潰えた時、 世界は救われたとクリスは信じた。 始まったばかりの新しい世紀は、 自滅へと続くレールから外れ、 光に満ちた未来に導かれていくのだと思えた。
    しかし、 そうはならなかった。
    外れたのはたがただった。 開発されてしまった恐るべき技術が消えることはなく、 それまでアンブレラという組織によって厳重に管埋されていた機密は、 監視機関に粛正される恐れのなくなった研究員たちによってほうぼうに持ち去られた。 それらは法の目の届かぬ地下へと潜り、 ほどなく”商品”として世界中に拡散した。安価に手に入れられる強力な武器として、 テロリストたちはこぞって生物兵器を買い求めるようになった。
    ――いつ終わるんだ? 網渡りが無限に続くなら、 それは滅びと変わりがないんじゃないのか?
    BSAAのエースと呼ばれ、 数々のバイオテロを未然に防いだ輝かしい実績を持ちながらも、 クリスの胸には名状し難い虚しさが去来する。 愚者の開けた穴を繕うために、多くの仲間たちが犠性になってきた。 世界は救われても、 友は戻らない。 失われた彼の片翼――かけがえのないかつてのパートナーも。
    ゥワン!
    耳元をかすめて施を描く、 大型蠅の荒々しい羽音がクリスを現実に引き戻す。 年前の太陽は、 ここアフリカ西部の街キジュジュではすでに、 剥き出しの肌を焙るような熱を放っていた。 メインストリートの店先で、 解体された食用家畜がたまらない臭気を立ち上らせ、 蠅の群れを熱狂させる。 ラジオから流れ出すノイズ混じりの演説が、 街路を渡る乾いた風に乗って耳に届く。 扇動的にがなり立てられたそれは現地の言葉で、 しかもひどく聞き取りづらかったが、 クリスにも幾つかの単語の意味ば理解できた。
”導き……楽園……救済を! 死……裁きを……”
    物騒な響きに、 彼は微かに眉を寄せた。 政権が倒れたばかりのこの国では、 次の指導者の座を巡って有象無象が勢力を競い合っている。街に漂う空気も、 いつ暴動へと発展してもおかしくない苛立ったものだった。 人心を巧みに煽り立てる演説は、 危うい均衡をぐらぐらと揺さぶる暴力的な調子を帯びて垂れ流され続ける。
    ――生物兵器の闇取引には格好の状況だな。
    その取引現場を押さえ、 密売人の身柄を確保するためにクリスはここにいる。 答えは見つからずとも、 今は行動すべき時だった。 幾つかの、 信じ難い噂の真偽を確かめるためにも――。
    どこかでサイレンが鳴り、 スピーカーを音割れさせる演説に被さって街路に響き渡る。 と、 傍らの、 先刻合流したばかりのパートナー――シェバ・アローマが足を止め、 不審そうに周囲を見回した。
    わずかのうちに街の様子は一変していた。 殺気立った喧噪は嘘のように止み、 少し前まであった生活の気配までが消えている。 いつの間にか人通りは絶え、 真昼を迎えた街はさながらゴーストタウンの様相を呈した。 濁った重苦しい空気だけが、 異分子を選別する触手のごとくにまとわりついてくる。
    予感が、 クリスの背を百足のように這い上る。 生物災害との関わりの中で備わった、 一種の超感覚的な察知能力――それが激しく警報を奏でている。 スイッチを切り替えろとクリスを急かす。
    何かが起こり始めていた。 揺らめく陽炎の薄膜の向こうで、 日常を喰い破る何かが蠢き始めていた。
    ふたりのエージェントは、 すでに事態のただ中にいる。 だが、 それはまだ、 クリスとシェバの前に姿を現さない。 強靱な肉体と、 あきらめぬ意志によってのみ凌ぐことのできる死の暴風は、 獲物に襲いかかる前にしばしの静寂を保っている。
    この日、 キジュジュよいう名の街は消滅する。 代わりに同じ地に現れたのは、 人間の仮装をした怪物たちが跋扈する、 キジュジュという名の地獄だった。
    蓋はまた、 開かれてしまったのだ――。

    ――相棒、 か。
    クリスは自分の背後をカバーしている、 出会って間もないシェバ・アローマのことを考える。
    正直なとごろ、 彼はシェバがここまでやるとは思っていなかった。 現地の状況を知るまでは、 むしろパートナーは必要ないとさえ考えていた。 失われる命は少ないほうがいい。 自分は生き延び相棒が死ぬ――そんな、 残される者の立場はもう御免だった。
    事実、 クリスはこの数年、 正式なパートナーとチームを組むことなくBSAAの活動に従事してきた。 任務に必要と判断した時のみ、 臨時であてがわれた隊員と行動することはあったが、 ほとんどの場合において彼は単独での作戦遂行を好んだ。

    明けない夜はない。 明日は必ずやってくる――。
    そう無邪気に信じる者に、 人の命を花に喩えて誰かが言った。 それは儚き約のごといものだと。 夜半の嵐が、 明日も咲いていたはずの花を無情に散らしてしまうやも知れぬのだと。
    花弁を、 命をさらう鬼風を吹かせるのは、 連命の悪戯ということもあるだろう。 もしくは、 度し難い人間の悪意であることも。 それが突然の天変地異や戦争であれば、 数多の花が一夜に消え去る。 個の力では抗えぬものが夜のうちに暴れ狂い、 容易に明日を奪ってしまう。 目覚めればもう、 世界は変わり果てているかも知れないと、 世を儚むその誰かは説く。 失われる未来を思い、 深い嘆きを漏らす。
    いささか悲観的過ぎる見方ではあるだろう。 明日が巡ってこないと畏れながら、 人は生きていくことはできない。 明日を信じる者たちが、 寄り添って人間の世界を作り上げる。 未来に向かい、 星の歴史を紡いでいくことができる。
    だが――。
    この夜の嵐は、 巻き起これば何もかもを御破算にしてしまう、 現人数の誕生以来吹いたことのない激烈なものだった。 60億の花を散らすばかりか、 その花をつける木々を――世界そのものを根こそぎに破壊しようする滅びの大風であった。
    終末の日をもたらそうしたのは、 ひとりの男の意志――滅び去ったアンブレラの意志を受け継ぎ、 ウィルスによる全人類の選別を目論むアルバート・ウェスカーの、 狂気に充ち満ちた意志だった。

SourcesEdit


Community content is available under CC-BY-SA unless otherwise noted.