Resident Evil Wiki
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The biohazard 0 is a short story written by Benny Matsuyama, which appears in the biohazard 0 KAITAISHINSHO. Due to the status of Studio BentStuff and the Famitsu-Capcom partnership, Matsuyama's works are to be accepted as part of the mainstream canon.



Biohazard 0 KAITAISHINSHO - biohazard 0 Prologue


It is the night of July 23, 1998. In Raccoon Forest, insects; birds and coyotes dominate the environment and it is loud with their sounds. However, in one small corner of the forest, in the Arklay Mountains, it is unusually silent. No birds are fluttering, no beasts move through the bushes, and there is not even the sound of insects. The animals of this area have completely abandoned their homes and left it silent, knowing there is something wrong. All animals that did stay were eaten during the evacuation. The new animals which move through the quiet part of forest are said to have crawled straight out of hell.

A single sound echoes through the forest at 20:17. A train roars up the railway deep in the forest, and passes through the silent area. It is the Ecliptic Express. A mass of creatures jump onto the train and force their way inside. They attack the passengers and suck their blood. Unguided, the train comes to a gradual halt and disappears into the night as its lights go out.

Rebecca Chambers is a recent addition to S.T.A.R.S., a special forces team affiliated with the Raccoon City Police Department. Today is her first mission for the taskforce. S.T.A.R.S. is investigated an unusual murder case involving cannibalism near Raccoon City, which has shocked the entire population. The police have been forced by the townspeople to do something about it quickly. S.T.A.R.S. is chosen to begin an investigation of the entire forest, despite their actual purpose being counterterrorism and hostage rescue.

It is now 10PM. A helicopter carries six members of the S.T.A.R.S. Bravo Team over the Arklay Mountains. As they fly over, they suffer engine trouble and are forced to make a landing. Bravo Team checks out the immediate area, soon finding an overturned military prisoner escort vehicle. The two MPs who were driving have been killed. With no time to investigate the cause of death, as the records in their possession indicate they were transporting a prisoner - a prisoner who is nowhere to be found. The prisoner is Lieutenant Billy Coen, who was awaiting execution for a serious crime. S.T.A.R.S. spreads out in search of the man.

Rebecca moves into the trees with her handgun out. Unskilled and only 18 years old, she is very nervous but has the drive to keep going with the mission alone. She reaches a break in the treeline and finds the Ecliptic Express. Suspecting Coen to be inside, she opens a carriage door to search it.


Biohazard 0 KAITAISHINSHO - biohazard 0 Epilogue


The nightmare is over. As they stand in the morning light, Rebecca thinks about how the sunlight saved them from the Queen Leech. The creature had been so weakened by the heat of the sun that a magnum bullet fired straight through its body. It fell down an elevator shaft and was consumed by explosions from the facility's self-destruction. Billy takes off his handcuff and throws it over a cliff. Rebecca questions her career as a S.T.A.R.S. officer; she believes Billy to be innocent of the crimes he is accused of, and it is difficult for her to perform her duties and arrest him. He has only been found guilty and sentenced for execution, and the only way to prevent that is to submit proof of his evidence to an appeals court. The chances of a court hearing her out are marginal, so Rebecca decides to simply report him as having turned into a zombie to explain his disappearance. Then he would not be subject to another search. Rebecca sees another mansion in the distant, the one Enrico talked of. Rebecca takes Billy's dog tag as evidence of his death, and the two part ways.


    夜の 森は、本来静寂になど包まれてはいない。
    無数の虫が奏でる無秩序な響交と、夜行性の鳥獣——アメリカ中西部に位置するここアークレイ山地では、 地表をコヨーテ山猫が、 空をフクロウが支配する——が狩猟と晩餐にいそしむ物音。 そして樹冠近くではヨタカが甲高い咆哮の結界を張る。 夏の樹海の闇は、 生命の気配と騒 がしさに満ち盜れている。
    しかし、 この夜——1998年7月23日の午後8時週ぎ、 ラクーン森林地帯のとある一角は異様な静けさの中にあった。
    その一帯だけは、 梢を揺らして飛び立つ鳥の羽ばたきもなければ、 領地を巡回する肉食の獣が立てる葉擦れの音もない。虫さえも息を潜め、 ただ沈黙だけが重く空間に横たわっている。 まるで濃密な闇自体が生命を得て、 あらゆる生物を呑み込み消化し尽くしてしまったような、 そんな虚ろな静寂であった。
    夜の森の住人たちは知っていた。 今宵、 この地を治めるのは自分たちではないと。 決して立ち向かえない恐ろしいものがやってくることを鋭敏に察し、 彼らはテリトリーを捨てて逃げ出したのだ。
    そして事実、 留まった生き物はこの時点でことごとく喰われていた。 ありえない存在に。 地獄の蓋の隙間から這い出してきた、 新たな支配者たちに。
    午後8時17分。 恐怖が統治する無音の世界に、 畏れを知らぬものたちの到来を告げる音が響き、 沈黙は破られる。

    起伏に富んだ森の、 山あいを縫うように敷かれた一対の鋼の帯。 廃線などではない、 現在も整備されている対妙な鉄道がそこにあった。 線路の継ぎ目で奏でられる律動が彼方から伝わり、 急速に大きくなっていく。
    接近しつつあるのは、 ”黄道特急” と車両に記された列車であった。 さながら暗雲を切り裂く稲妻のごとく、 樹海を貫いて疾走を続ける巨大な質量の塊――それは何者にも止めることのできぬ、 圧倒的な勢いをもってその地点を瞬時に駆けける。
    だが、 素通りは許されたかった。
    この一瞬に、 列車の外観は様変わりしていた。
    ぬめる光沢を宿し、 ざわざわとうごめく無数の鱗に包まれた巨大な蛇――そのように見えるほどに、 おびただしい数の怪生物が車両の外壁にへばりついていた。 それらは通過の刹那、 樹上から列車へと一斉に飛び移っていたのだった。
    ひとつの邪悪な意志に導かれ、 身の内におぞましい害毒を宿した吸血の群れが、 生け贄を求めて車内に侵入を開始する。 外界と隔絶された豪華車両の快通な旅にくつろいだ乗客を、 阿鼻と叫喚の地獄に突き落とすために。 人ではないものに変貌させるために。
    淒惨な饗宴が繰り広げられる間も走り続けていた列車は、 徐々に速度を鈍らせ、 やがて力尽きたかのごとく停止する。闇に沈む、 深い森のただ中で。

    ラクーン市警所属の特殊部隊S.T.A.R.S.に配属されたばかりのレベッカ・チェンバースにとって、 夜にまでずれ込んだこの初出動はまさしく”洗礼”となった。
    ラクーンシティ近郊で多発する猟奇殺人――犠牲者が生きたまま喰われるという異常事件は、 ありふれた地方都市を不安と疑心で塗りつぶした。 市民からは一刻も早い事件の時決を望む声が高まり、 本来は対テロと人質救出を主任務とする精鋭部隊S.T.A.R.S.の、 異例尽くしの広域捜査投が決定された。 これを受けていささか性急とも思える出動命令が下され、 7月23日の午後10時を回った時刻に、 ブラヴォーチーム6名を載せたヘリはアークレイ山地へと飛び立ったのだった。
    彼らの運命は急転する。 ラクーン森林地帯上空を飛行中のヘリがエンジントラブルに見舞われ、 不時着したことによって。
    現在位置を確認すべく、 周辺探を始めたブラヴォーチームが目にしたのは、 横転して無惨な姿をさらした軍用囚人護送車と、 苦悶の表情を浮かべて絶命しているふたりのMPの骸だった。 死因を詳しく調べる暇もなく、 不古な記述がなされた移送指示書が発見される。

    運ばれていたのは死刑内だった。 少尉の地位にあった軍人で、 名はビリー・コーエン。 車の周囲に、 その男のものらしき死体は見当たらない。 凶悪犯と思しき、 軍の訓練を受けた男が脱走したとい事実に慄然としながら、 彼らは散開して各個に捜索を開始した。
    制式拳銃を構え、 レベッカも単独で森を分け入っていく。 18歳の新人が遭遇するにはあまりに酷な状況に、 それでも懸命に対応しようと、 緊張した面持ちで彼女は闇の奥へと歩を進める。
    前方の木々がにわかにまばらとなる。 開けた空間にあったのは線路と、 奇妙にも森の中で停車したままの列車だった。 不審を感じながらも、 逃亡犯が身を潜めている可能性から、 レベッカは内部をくまなく調べるべく乗り込んでいく。 車両の側面には、 ”黄道特急” と記されている――。
    こうして、 のちに ”洋館事件” として語られることになる生物災害の、 前段にあたる怪事件が幕を上げる。 悪意と狂気に彩られた宴への扉が開く。
    レベッカの背後で、 それは固く閉ざされる……。

    いつの間にか始まり、 私たちを呑み込んだ身の毛もよだつ悪夢は、 ようやく終幕を迎えようとしている。
    狂気と恐怖を調合して爆発的な化学変化が引き起こされたような、 あるいはこのむごたらしい夢を生み出した悪意が具現化したような存在は今、 闇に属するものを浄化する朝の光に射し貫かれ、 灼かれる苦悶におぞましい巨体をくねらせた。
    不死身のジークフリートにただひとつ残された、 龍の血を浴びそこなった背中の急所――女王ヒルにとってそれは太陽だった。 開放されたゲートからなだれ込む陽光が、 マーカス博士だったものが獲得した底なしの再生力を奪い取り、 ただの人間に不死者を葬り去る機会を与えてくれたのだ。
    そう、 チャンスはこの一瞬。 私が投げたマグナムはもう、 信頼できるパートナーのもとに――ビリー・コーエンの手の中に収まっている。
    彼がずっと心の底に蓄え続けてきた、 罪なき者たちを踏みにじる ”悪” への烈火のごとき怒りが、 裁きの雷となって銃口からほとばしったように私には思えた。
    ただ一発の弾丸が、 それまで数十発を撃ち込まれようとひるまなかった無敵の肉体に吸い込まれた。 日光にさらされた女王ヒルの身体にもはや強度は残っていなかったのあ、 着弾の衝撃で変形拡散することなく、 鉛の弾頭はその中心部をまっすぐに貫通する。
    この一撃が、 巨体を束ね上げる最後の結び目を破壊していた。 中枢を撃ち抜かれた怪物は半ば爆発するように砕け散り、 そのままリフトの縦六へと、 四散した肉体を落下させる。
    太陽に拒まれたけがれた肉塊を、 大地の弓力が本末あるべき場所へ――地獄のとうな地の底へと送還する。
    ほどなく、施設の奥深くで爆発が起きた。 それはやがて悪夢の痕跡を残らず呑み込み、 この常軌を逸した事件の真相を瓦礫の中に葬り去った。

    命の救い手となった太陽の光を思う存分に浴びて、 私は生き返ったような、 身体にこびりついた悪意の飛沫を消毒したようなすがすがしい気分になった。

    あの狂気の研究施設から脱出して、 まだそれほどの距離を移動したわけではない。 それでも、 ラクーン森林地革の緑の屋根を一望に見,渡せるこの小高い斤でひと息つくことができた今、 昨晩から続いていた重苦しさは綺麗に拭い去られていた。
    ビリーがおもむろに、最初の出会いから左手首につけたままだった手錠を外し、 思いきり遠くへと放り捨てた。 逃亡者の証しは陽光を反射し、 弧を描いて眼下の樹海に消えていく。
    草の上に寝転がるビリーの顔は晴れやかだった。 彼はきっと、 長い間ひとりで苦しみ続けてきたのだろう。救うことのできなかった人々を思い悩み、 そして一度はいわれのない無実の罪で、 死刑囚の境遇に甘んじようとしたのだ。
    自分を陥れたものと同数の ”悪” との死闘を生き延びて、 彼はようやくまといつく過去を振り切ることができたのだろう。 この国の法に追われる、 表には出ていけない立場は変わらなくとも、 生きていこうとする意志はビリーの死にかけていた魂を蘇生させた。
    私はそれを、 心から祝福したい。 でも、 同時に、 自分はつくづく警察には向いていない人間なのだとも感じる。
    警官であるなら、 逮捕の是非に私情を挟んではいけない。 たとえビリーを無罪だと信じていても、 彼が死刑判決を受けている脱走犯である以上、 まずは身柄を確保して暑まで連行しなくてはならない。 暃のあるなしを判断するのは警察ではなく、 司法の場であるからだ。 そこに引き渡したうえで、 知り得た事実をもとに彼の無実を証明するのが、 ラクーン市警に所属する私が本来選択すべきただひとつの道である。
    しかし、 とてもそんな気にはなれなかった。 ビリーについて、 軍の下した判決はあまりに一方的で公正さを欠いている。 再審理を要求しても、 おそらく彼の有罪は覆らないだろう。
    それに、 私はすでにエンリコ隊長に虚偽の報告をしてしまっている。 ならばとことん嘘をついてやろうと、 実はもう心に決めていた。
    ビリーはこの事件に巻き込まれて死亡し、 ゾンビになって死体さえも確保できなかった――報告書にはそう書くつもりでいる。 そうして彼は戸籍の上では死者になり、 だから死刑囚として追われることなく生きていくことができる。

    警官としては明らかに背任だ。 けれど、 私は人間してこの決心が正しいと信じる。 今回の事件で私が学んだのは、 最後に ”悪” を見定めるのは自分自身なのだということだった。 それを見失ったマーカス博士は暴走して人の命をもであそび、 結局はより大きな ”悪” に排除されることになったのだ。
    見渡す大森林のそう遠くない位置に、 不自然にぽつりと建つ大きな洋館が見える エンリコ隊長が向かった場所――そこに行けば合流できるだろうし、 何より私はS.T.A.R.S.の責務を果たちなければならなかった。 終結したこの忌まわしい事件の顛末を、 残らず公にして市民の安全を守る使命が私たちにはあった。
    だからここで、 ビリーとはお別れになる。
    私は無言で、 そっと彼の道から認識票を外し、 自分の首にかけた。 ビリーの死を確認した証明になるはずだし、 私自身、 彼を感じさせる記念が欲しかった。 永遠に、 ではなくとも、簡単には再会できないだろうふたりの分かれ道に。
    短い言葉と、 敬礼のやり取り。 こうして私の初めての出動と事件は終わりを告げた――。

    いいえ。 この奇怪な事件は何ひとつ解決なんかしていなかった。
    すべては序章に過ぎなかった。 あの洋館で始まる惨劇の前夜祭に。
    幕は再び上がり、 闇が参み出し始めた……。